日本人のみならず、世界中の野球ファンを虜にする大リーグのイチロー選手。
実はイチロー選手、過去に国民栄誉賞を辞退したことが2回もあることをご存知でしょうか。
国民栄誉賞、普通の人ならばこんなに名誉な賞をあげると言われていりません、と答える人はなかなかいないでしょう。


しかし、イチロー選手は断りました。
それも2回も。
一度断られたのに再び国民栄誉賞を与えられるというのも本当にすごいことだと思うのですが、それを再び辞退するイチロー選手には本当に驚かされます。
イチロー選手は、なぜ2回も名誉ある国民栄誉賞の打診を断ったのでしょうか。

高すぎるほどのプロ意識を常に忘れない

1度目の国民栄誉賞を断った時の理由をイチロー選手は、「まだ現役で発展途上の選手なので、もし賞をいただけるのなら現役を引退した時にいただきたい」と話していたそうです。
そして2度目の国民栄誉賞の打診の際は、「今の段階で国家から表彰を受けると、モチベーションが低下する」と言って断っています。
この言葉からイチロー選手は、現役の間は常に発展途上の状態であり、ゴールはない、限界はないという信念があるという非常に高いプロ意識がうかがえます。
これがイチロー選手が長きにわたって大リーグで輝き続けている理由の一つです。

全ての出来事は夢への通過点でしかない

イチロー選手は、国民栄誉賞をもらうことで自分のモチベーションが低下するのを恐れていました。
普通、人は報酬や名誉を与えられると嬉しい気持ちになります。
しかし、報酬は時として自分の本当の目的を見失う材料となることを、イチロー選手は知っていたのです。
会社を立ち上げる時、新しいことを始めようとする時、経営者は必ずビジョンを持っています。
自分の夢を叶えるため、技術や考えを広めるため、確かな動機を持ってたくさん勉強してお金や時間を費やして起業するわけです。


イチロー選手のビジョンは、50歳になってもプロ野球選手として現役で野球をすることだったそうです。
その目標を達成する、夢を叶えること以外は、イチロー選手にとっては全てがただの通過点なのです。
経営者も、同じようにこの先起こる全てのことを通過点としてとらえる必要があります。
起業した時の最初の動機を忘れないという信念は、自分が経営者であるうちは絶対に守っていかなければなりません。


報酬は動機を忘れさせる最大の原因となり得る

しかし、長いこと経営を続けていると、動機を見失いそうになる場面があります。
大きなトラブルが起きた時はもちろんですが、イチロー選手の国民栄誉賞のように、嬉しいはずの報酬や名誉を得る時が実は最も動機を見失いやすいタイミングなのです。
好きでしていたはずの行動(イチロー選手の場合はプロ野球)に、報酬(国民栄誉賞)を与えられることによって、やる気がなくなってしまうことをイチロー選手は知っていました。
報酬は、時に大事なものを見失う原因をつくり出してしまいます。


人間は、目の前の幸福にとらわれてしまう生き物です。
経営をしていて大きな儲けがあった時、爆発的なヒット商品を生み出した時、大きくメディアに取り上げられて話題になった時など、予期せぬ報酬があった時、そこをゴール地点だと勘違いしてしまう経営者が大勢います。
そうして動機を見失い、やる気は見る見るうちに低下していき、数年先のことまで考えることができなくなってしまいます。


経営者にとって何があっても揺るがないような明確なビジョンは最も大切なものです。
それを見失わせるほどの報酬は、恐怖の対象でしかありません。
報酬を得ることで、のちに会社を潰してしまうケースはとても多いのが現実です。
一度報酬を受け取ると、その報酬が大きければ大きいほど、報酬がないと何もできない、何もしない経営者になってしまいます。
そうならないために、明確なビジョンを見失わないために、イチロー選手のように報酬もただの通過点だと思ってスルーできるほどのプロ意識を持ってほしいと思います。